
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人には、国民年金への加入が義務付けられている。しかし、失業などの経済的な事情などで保険料を納めるのが困難な場合には「免除申請」や「納付猶予制度」を利用することで、保険料の支払いを一時的に免除・猶予してもらうことができる。
筆者も何度も免除申請にはお世話になった。また年金関連の仕事も一年ほどしており、年金アドバイザーという資格も持っているので一般人よりは詳しいかと思う。
国民年金の免除申請とは
そんなわけで今回は国民年金の免除申請制度について解説しようと思う。
国民年金保険料の免除申請とは、失業や低所得など、特定の条件を満たす人が、申請することで保険料の一部または全部の納付が免除される制度だ。
日本は優しいから最低限度の生活ができるよう憲法で保障されている。経済的な理由で保険料を払えない人でも、将来年金を受給できるようにしてあげましょうというワケだ。
免除の種類
国民年金保険料の免除には以下のような種類がある
- 全額免除
→ 保険料の支払いが全額が免除される ⇒半額が年金額に加算される - 4分の3免除
→ 保険料の4分の1を払えばOK ⇒8分の5が年金額に加算される - 半額免除
→ 保険料の半額を払えばOK ⇒8分の6が年金額に加算される - 4分の1免除
→ 保険料の4分の3を払えばOK ⇒8分の5が年金額に加算される - 納付猶予(学生など)
→ 一時的に支払いを猶予 ⇒年金額には加算されない
上記のとおりだがこれらは申請しておけば年金額に加算されるし受給資格期間(年金を支払ったとみなされる期間:最低10年必要)にみなされる。
メリットしかなくもはや申請して当然ぐらいの話なので、該当する場合は必ず申請しておこう。
ただし納付猶予は年金額に加算されないので要注意。全額免除とにているが、全額免除は半額が加算されるのでい大違いだ。
これらはすべて「追納」が可能(あとでお金に余裕ができてから払う)だ。だが3年を過ぎると経過期間によって加算額が発生する。そして追納の期限は10年なので気を付けよう。
免除の対象となる条件
じゃあ全額免除だとか半額免除だとかがどうやって決まるかというと、基本的には前年の所得もとに審査が行われるがその他下記のような場合も考慮される。
- 学生(学生納付特例制度)
- 失業している
- 所得が一定額以下
- 生活保護を受けている
- 障害や病気で働けない状態
上記の場合はそれを証明できる書類の提出が必要となる。学生なら学生証、失業中なら離職票などだ。
特に失業の場合は特例免除となり前年度の所得を考慮せず審査されるためほぼ確実に全額免除となる。失業したら必ず申請しよう。
申請しないと未納になる
会社員の厚生年金は会社が支払いやら手続きやらをすべてやってくれる。それと違って国民年金何でも自分で手続きをしないとならない。
従って免除申請も自分でやらない限り未納となってしまうので注意しよう。
未納は最悪でデメリットしかない。受給資格期間にも加算されないし、もちろん年金額も加算されないからだ。
たとえ納める気が無くても免除申請だけはしておこう。
申請の方法
申請方法としては基本的に市役所や年金事務所で手続きする。慣れてなければこれが一番確実で単純だ。
申請時は身分証と特例の証明となるもの(学生証、離職票など)を持っていこう。
また、郵送や最近だとマイナポータルからの申請も可能だ。行く時間がない人や遠方の人はこれらを利用するといい。
原則、毎年7月から翌年6月分までを対象に申請できる。また、知らずに未納となってしまった事後でも2年1ヶ月以内であればさかのぼって申請可能だ。
まとめ

国民年金の免除制度は、経済的に厳しい時でも年金を保障するための重要な仕組みだ。免除を受けることで将来の年金受給資格を維持しつつ、生活の負担も軽くできる。
免除期間中も、年金の受給資格期間にはカウントされる。ただし、将来受け取れる年金額は納付額に応じて減額される。
後から「追納」することで年金額を増やすことが可能だ。追納は10年以内であれば可能だが、3年以上経過すると加算額が上乗せされるため早めの支払いをおすすめする。
繰り返しになるが未納はデメリットしかなく、必ず避けるべきだ。もし保険料を支払えないと判明したら、将来の自分を守るためにも早めに免除申請を行おう。